VPD(Vaccine Preventable Diseases)

予防接種のイメージ写真

ワクチンで予防できる病気をVPDと呼びます。完全に予防できなくてもかかった場合に軽症で済むことも期待できます。
また接種したご本人のみならず、ご家族あるいは周囲の人々に感染が拡大するのを防ぐ意味合いも重要です。
当クリニックでは成人のVPDに対する予防接種を実施しています。

ワクチンとは

ワクチンとは、病原体の毒性を弱めたり(生ワクチン)無毒化したり(不活化ワクチン)して作られたものです。
これを接種することで未だ罹っていない疾患に対して免疫をつけるという目的のために行うものです。
ワクチン接種をすることで罹患前であっても免疫をつけられるようになるので、感染による発症を抑えられたり、万一発症したとしても重症化を防ぐといったことが可能になるのです。

当クリニックで実施する予防接種

  • インフルエンザ
  • 肺炎球菌
  • 麻疹(はしか)
  • 風疹
  • 帯状疱疹(水痘)

*麻疹 風疹については接種前に抗体検査が必要ですが、当クリニックで実施しています。
**通院されている方で、上記以外のワクチン接種をご希望される方は可能な限り対応いたしますので、遠慮なくお申し出下さい。

インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンは毒性のない不活化ワクチンで12歳までのお子様は2回、13歳以上の方は1回の接種となります。
なお高齢者※につきましては、定期接種となりますので一部費用が助成されます。
詳細についてはお住まいの市町村の公式ホームページなどをご参照下さい。
※満65歳以上の方もしくは、接種日に満60歳以上65歳未満で、心臓、腎臓、呼吸器の機能等に極度の障害を有する方

インフルエンザワクチンは、接種してから効果が出るまでに約2週間かかり、その効果は約4ヵ月間持続します。
日本では、例年12月~翌3月頃にインフルエンザが流行しますので、毎年12月中旬頃までに接種するのが望ましいです。

なおインフルエンザワクチンを接種したことによる副反応については、強いアレルギー反応(アナフィラキシー様症状など)が出たという報告はありますが、重い障害や死に至るようなケースは稀です。
そのほかよく現れる副反応として、注射部位の痛みなどがあります。

さいたま市のインフルエンザワクチン定期予防接種について

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌とは、肺炎の原因菌の中で最も多い菌(大人の肺炎の20~40%は、この菌が原因)であり、この肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防するほか、重症化のリスクを減らす効果も期待できます。
また、インフルエンザワクチンの接種を併せて行うと、肺炎予防の強化にもつながります。
そのため、肺炎予防には、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用接種が推奨されています。
肺炎は日本人の死亡原因の第3位※を占めており、高齢者や基礎疾患のある方が感染しやすく、治りにくいという特徴があります。なお、肺炎で亡くなる方の約95%が65歳以上※です。

同ワクチン接種後は副反応として注射部位に痛みや腫れが現れる、微熱が1~2日間ほど出るといったことはありますが、どちらも時間の経過と共に治まるようになります。
また、重篤な副作用が発生する可能性というのは、極めて稀と言えます。

過去に高齢者肺炎球菌ワクチン(23価)を打ったことのない方で、65歳の方はワクチン費用の一部が公的に負担されます。
詳細についてはお住まいの市町村の公式ホームページなどをご参照下さい。

さいたま市の成人用肺炎球菌ワクチン定期予防接種について

麻疹(はしか)ワクチン

麻疹ウィルスは非常に強い感染力をもち(インフルエンザの10倍と言われています。)、また成人が感染すると重症化しやすいと言われています。
肺炎や中耳炎を合併し易く、まれに脳炎で死亡することもあります。
また非常にまれですが麻疹が治って数年から10年程度経ってから、亜急性硬化性全脳炎という難病を発症することがあります。

麻疹についてはワクチンの普及で国内の感染者数は減少し、平成27年にはWHO西太平洋地域事務局より我が国が麻疹の排除状態であることが認定されました。
しかしその後も海外からの輸入例と、そこからの感染例は認められています。

麻疹は感染力が非常に強いためワクチン以外に有効な予防方法がないとされています。

これまで麻疹にかかっていない方で、ワクチンを2回接種していない方(2005年以前に生まれた方)は麻疹ウィルスに対する抗体がないか不十分な可能性があります。
感染のリスクがある方、ご家族に妊娠する可能性ある方などは血液検査で抗体の有無を調べて、必要があればワクチン接種を受けることをお勧めします。

風疹ワクチン

麻疹(はしか)と同様に風疹ウィルスによって引き起こされ、発熱と発疹が主な症状です。
麻疹ほどではないものの感染力は強く、大人がかかってもたいていは軽くすみますが重症化することも無視できません。
また妊娠初期の女性が感染すると先天性風疹症候群(難聴、白内障、心臓病、精神運動発達遅延)の子供が生まれることがあります。

風疹も麻疹と同様にワクチンに予防がもっとも有効です。
これまで風疹にかかっていない方で風疹ワクチン接種の記録がはっきりしていない方で感染のリスクがある方、とくに妊娠可能年齢の女性および同居している方は血液検査で抗体の有無を調べて、必要であればワクチン接種を受けることをお勧めします。
妊娠可能年齢の女性、およびその家族の方には公費補助される場合があるのでお住まいの都道府県、市町村のホームページ等をご覧下さい。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹はピリピリとした痛みとともに発疹が出現する病気です。
原因は水疱瘡ウィルスが最初の感染で水ぼうそうをおこした後も知覚神経節に潜んでいて、体力や免疫力が落ちたときに再び活性化し帯状疱疹となります。
帯状疱疹は早期診断と適切な治療が必要で、治った後もひどい神経痛に悩まされることがあります(ヘルペス後神経痛)。

我が国でも2016年から水痘ワクチンを50歳以上の方に帯状疱疹予防目的で使用できるようになりました。
ただ水痘ワクチンは生ワクチンで、抗がん剤や免疫抑制剤を使用中の方には使用できない、予防効果の持続期間が明確になっていないなどの課題もあります。

しかし子供の水ぼうそうの減少、社会の高齢化により帯状疱疹が増えてくることが予想されます。
帯状疱疹はワクチンである程度予防できる、またかかったとしても神経痛等の後遺症を軽減できる病気(VPD)です。
ワクチンを検討されている方はお気軽にご相談下さい。